グラン・トリノ
ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、
妻に先立たれ、葬儀の日を迎えていた。
二人の息子たちは、母を亡くした悲しみより、
残された父を、これからどうするかの相談に余念がなく、
孫たちは、服装も態度もなっていない。
ウォルトは、その全てが気に入らない。
亡き妻から頼まれたと、
ウォルトを訪ねてくる、若い神父も気に入らない。
町に有色人種がめっきり増えた事も、
有色人種たちが家の手入れをロクにしないことも、気に入らない。
ある日、隣の家に越してきたモン族の少年タオが、
不良グループの従兄弟スパイダーに強要され、
ウォルトの愛車、“グラン・トリノ”を盗みに入る。
もちろん、盗みは失敗。
ライフルを持ち出し、タオ追い出そうとしたとき、
スパイダーたちが現れ、ウォルトの庭に侵入しようとした。
それに激怒したウォルトは、スパイダーにライフルを向け、
彼らを撃退し、図らずもタオを助けた結果となる。
それに感謝したタオの母と姉のスー、そして親戚までもが、
お礼にと大量の料理などを持ってくるが、
迷惑なだけのウォルトは、全て捨ててしまう。
数日後、スーが黒人にからまれている所を通りがかり、
行きがかり上助けてやる。
スーを車に乗せ家まで送る間の会話は、思いがけず楽しいものだった。
そして、またスーから食事に招かれ、隣家を訪ねたウォルトは、
美味しい料理とビールに、不思議な親近感を覚えるのだった。
頑固一徹、朝鮮戦争に出兵した事もある帰還兵。
フォードの組立工として長年勤め上げ、
1972年に自らがステアリングを取り付けた愛車“グラン・トリノ”を、
ビールを飲みながら、愛犬とともに眺める事が何よりの楽しみ。
家も小まめに修繕し、芝の手入れも欠かさない。
最近町に増えた有色人種たちには、あからさまに嫌悪感を示し、
若い新米神父にも、容赦なく毒づく。
誰がみても、筋金入りの頑固ジジイである。
だが、思いがけなく交流を持つこととなったモン族の家族、
特にアメリカでの生活に迷っている少年タオとの交流が、
少しずつウォルトを変えていく。
自分の人生が、残り少ないと知った男は、
男として経験してきた事を、遠い国から来た少年に託す。
その過程が、暖かくユーモアいっぱいに描かれる。
その反面、移民たちの現実や人種問題も描かれたり、
ウォルトが、有色人種と相容れない理由など、
重い問題にも触れられている。
クリント・イーストウッド監督作品には、ハズレはない。
でも、単純なハッピーエンドもない。
と、観る前から思っていたのだが、
今回のラストも、美しく悲しく暖かい。
やっぱりハズレはない。。。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
お久しぶりです!
今日、観てきましたよ!
暖かくて、優しい空気にたくさん泣いてきました。
今月は「スラムドック・ミリオネア」も
観られたし、良い月でした♪♪
投稿: パンダ | 2009/05/27 19:30
パンダ様
パンダさん、こんにちわ!
お元気でしたか!?
ホントに、イーストウッドがカッコよくて、
みんな優しくて強くて、素敵で。。。
こちらは、やっと週末から
『スラムドック・ミリオネア』が公開です。
私も、是非観にいってこようと思っています。
投稿: ri | 2009/05/30 01:18