« 模様替え | トップページ | 10月に観た映画(2008) »

2008/11/07

ブーリン家の姉妹

 

65de6ff4 《劇場鑑賞》

 

 『エリザベス:ゴールデンエイジ』

 より、半世紀前のお話。

 男を翻弄したのか、

 時代に翻弄されたのか。

 美しき姉妹の物語。

 

 

 

 

 

16世紀初頭イングランド、ヘンリー8世の治世。
貴族にとって、女は政治の駆引きであり、出世の拠り所だった時代。

新興の貴族、ブーリン家には美しい姉妹がいた。
姉のアン(ナタリー・ポートマン)は、太陽の輝きのように勝気で才気に溢れていた。
妹のメアリー(スカーレット・ヨハンソン)は、月の光のように控えめで心優しかった。

イングランド王ヘンリー8世(エリック・バナ)は、
王妃との間に、王女メアリーしかもうけられず、
男子の世継を熱望していた。

姉妹の父ブーリン卿と、叔父のノーフォーク公は、
世継を設けるための愛人として、アンを王に差し出す計画を練っていた。
だが、王が心を奪われたのは、結婚したばかりのメアリーだった。

そして、ブーリン家は一家そろって宮廷へ上がることとなる。
もちろん、アンも…

 

勝気でプライドが高いアンにとって、
王が妹を選んだことは、屈辱以外の何物でもなかったのだろう。
この出来事が、以降の彼女の運命を決定付けてしまった…
といっても、過言ではないと思う。

ヘンリーは一度はメアリーを選んだ。

たとえ、その後アンに心を移そうと、その事実は変わらない。
メアリーを越えるには、愛人ではなく、王妃になる。
アンにとって、それ以外に選択肢は見えなかったのだろう。

時に、腹が立つほど嫌な女のアンと、
いつも周りに振り回されながらも健気なメアリー。
なのだが、ナタリー・ポートマン演じるアンからは、
痛々しいまでの哀しさと女の痛みが感じられる。

アンは、王を翻弄したのか、
そして、メアリーは時代に翻弄されたのか。

実は、全く逆だったのではないかと思う。

もがけばもがくほど、時代に翻弄されたのは、アン。
受身に徹しながらも、王を翻弄し続けたのは、
「信じられるのは、お前の言葉だけだ。」と王に言わせた、メアリー。

「魔女」の烙印を押され、非業の最期を遂げたアンに対し、
穏やかに人生を全うしたメアリーは、誰よりも強い女性だった気がする。

アンの処刑の後、アンの生んだエリザベスを抱いて、
宮廷を後にする毅然としたメアリーの姿が、印象的だった。

 

***********************************************************

 

『エリザベス:ゴールデンエイジ』を観たあとに、少し調べた事柄が、
この作品を観てなんとなく繋がってきた。

ヘンリー8世が、カトリックと訣別しイングランド国教会を設立した理由。

エリザベス1世が、私生児と呼ばれた理由。

メアリー1世がエリザベスを憎んだ理由。

色んなことが何となく繋がった、気がする。
そして、全てを理解するには複雑すぎる時代、という気もする。

 

それにしても、ヘンリー8世という男は、なんていう奴だ!
と思いながら、映画を観ていたのだが、
Wikipediaによると、
ヘンリーは「イングランド王室史上最高のインテリ」とされているそうで、
数ヶ国語を操り、スポーツや芸術にも造詣が深かったそうだ。

   (ホントか嘘か、「姉妹の母、レディ・エリザベスも王の愛人だった。」
     という話もあると書いてあるのは、衝撃的だったが…)

そんな王が、なぜあんな愚かな行動をとったのか。

やはり、当時のイングランドの置かれている事情、
「男子をもうけしっかりとした世継を置かないと、国が危ない。」
という危機感からだったのだろうか。

だが、公式サイトにもあるように、

   「ヘンリー8世の不安は杞憂に終わった。
   1533年9月7日、アンが生んだ女の子--
   後のエリザベス1世は、イングランドを45年間統治し、
   ゴールデン・エイジと呼ばれた。」

 

 

こういう時代のお話、コスチューム劇、美しい映像。

これらが大好きな私としては、

とっても見ごたえのある作品だった。

 

|

« 模様替え | トップページ | 10月に観た映画(2008) »

コメント

こんにちわ。

≫もがけばもがくほど、時代に翻弄されたのは、アン。
受身に徹しながらも、王を翻弄し続けたのは、
「信じられるのは、お前の言葉だけだ。」と王に言わせた、メアリー。

うーん・・・なるほど!!!
この文章における彼らの三角関係が・・・この物語の全てを
簡潔に表していると言っても過言じゃないですね。
素晴らしいです。

この物語が、あのエリザベスに繋がっていくのだと思うと、
点と点が結びつくような面白さがあって、
「ああ、歴史をちゃんと勉強したいなあ」って思えてきます。


あ・・・そうそう。
ウチにriさんからいただいたコメントへのお返事、また
やたら熱くなってしまって、訳分からんこと書いちゃった(涙)
いつもriさんの寛大なお心に甘えきっております。ごめんなちゃい。

投稿: 睦月 | 2008/11/07 17:22

睦月様

>この物語が、あのエリザベスに繋がっていくのだと思うと、

そう、なんだか感無量ですね。
歴史の教科書では、全く頭に入っていかなかったことが、
こうして、映画で観ると繋がって行くんだから不思議です。
もう少し、学校の授業も考えてくれるといいのにね!

ところで、
睦月さんからいただいたお返事ね。

私、あの言葉、何気に深い意味もなく使いました。
でも、睦月さんの感覚は痛いほどわかります。

つもりです…

また、睦月さんと一杯語りたいです。

投稿: ri | 2008/11/08 16:13

同じ親から生まれて
同じ環境で育って、
それでも。。こんなに違うものなんですね。
これは、このブーリン姉妹に限らないことですが
いつも不思議に思います。

同じ血が流れてるからこそ
一時は競い合っても
見捨てきれない絆の強さ。。とか。。
こういうのって同性だから、よけいに複雑になるんでしょうね。
兄弟といえば弟、自分の子供は女と男、我が家にはない絆ですから、同性の姉妹の独特の絆、そういうことも強く感じましたです。

投稿: チョコ | 2008/11/09 07:47

チョコ様

私も、兄弟は弟。
自分の子供は、同性でも男。

やっぱり、男と女とでは、ちょっと違う気がしますね。
姉妹の絆は、深くて濃密で複雑なような気がします。

我家の兄弟も、何でこんなにちがうんだろ?
って言うくらい、性格も好みも違います。
でも、以外なところが似ていたりして。

血の繋がりって、不思議ですね。

コスチュームも音楽も、
楽しめた作品でした。

投稿: ri | 2008/11/11 01:21

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/198769/25064305

この記事へのトラックバック一覧です: ブーリン家の姉妹:

» 「ブーリン家の姉妹」 [クマの巣]
「ブーリン家の姉妹」、観ました。 ブーリン家の美しき姉妹、アンとメアリー。その姉妹とヘンリー8世が出会うことで、愛憎が入り交じる... [続きを読む]

受信: 2008/11/08 13:32

» 映画「ブーリン家の姉妹」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:The Other Boleyn Girl 女の奥義を極める、男を立て主導権をとっていると思わせ実は女が主導権を握った状態のこと、母は娘に言い含め、娘はそれを体現する~姉妹の愛と葛藤~ 幼少期の頃の3人が野原で遊ぶ姿が印象的、それは二人の姉妹と一人の弟、美しく機知に... [続きを読む]

受信: 2008/11/13 01:24

« 模様替え | トップページ | 10月に観た映画(2008) »