おくりびと
小林大悟(本木雅弘)は、チェロ奏者。
やっと憧れのオーケストラ奏者の職に就けたと思ったのに、
突然、楽団が解散してしまう。
自分の才能に限界を感じていた大悟は、
妻の美香(広末涼子)とともに、故郷の山形に帰る決心をする。
女手一つで大悟を育てた母は、数年前に他界していた。
その母が残してくれた家に落ち着き、
仕事探しを始めた大悟は、ある新聞記事に目を留める。
その条件の良さに、半信半疑ながらも、
NKエージェントなる会社を訪問した大悟は、
社長(山崎努)の強引さに押し切られ、
仕事内容もわからないまま、入社することになる。
その仕事は、なんと「納棺師」だった。
子供の頃の、おぼろげな記憶のお葬式は置いといて。
私は、二人を送り出した。
父 と 義父。
父は、ガンである程度覚悟はしていたし、
義父は、突然ではあったものの、88歳という大往生の年齢。
だから、どちらも泣き喚くような「死」ではなかったが。
『死』というものに接しての哀しみは、
その直後にくる、一連の儀式の諸々の対応で、
とりあえずは、どこかに置いてきぼりになる。
その慌しさの中で、唯一、静かな気持ちになれたのは、
「納棺」の儀式の時だったような気がする。
というか、この作品を観て、「ああ、そうだった。」と、
その時の情景と気持ちを、思い出した。
地方によって違うのかどうかはわからないけど、
私の田舎では、たいてい亡くなって一晩は納棺しない。
その間に、親戚や近所の近しい方たちがお別れに来てくれる。
そして、通夜の日に「納棺」になる。
父と義父を送り出す手伝いをしてくださった方が、
葬儀屋さんの人なのか、それとも、
この作品のような専門職の人なのかはわからないけれど、
布団に寝かせられていた時よりも、お棺に入った後のほうが、
今にも起きてきそうな顔をしていたのは、確かだったような気がする。
この作品は、
人それぞれに、自分の周りの人たちのことを、
改めて思い出させてくれる、そんな作品なのかもしれない。
最初は戸惑っていた大悟も、
「納棺師」という仕事の意味を、肌で理解するようになる。
でも、美香には仕事の内容を伝えられないでいた。
夫が「納棺師」をしていると知ったときの美香の態度も、
それはそうだよと、思ってしまうのであるが…
ただ、この作品は、登場人物たちの気持ちの変化を、
淡々と、ユーモアを交えながら、押し付けることなく描いていく。
だから、尚更、
涙が止まらなくなるのかもしれない。
それにしても、本木雅弘さん。。。 もっくんは、
日本人俳優としては、断然“絵”になる存在だ。
「納棺師」の、美しいともいえる一連の所作も。
父親の死を前に、頬を伝わる涙も。
山形の自然の中で、チェロを弾く姿も。
何事も、見事なまでに“絵”になる。
以前、クイズ番組で、
「和製ジョニー・デップといえば誰?」なんて問題があった。
この時の答え、というかアンケートで一番だったのが、
オダギリ・ジョー君だったのだが、
会社の後輩と、
「いやいや、あれは違うよね!」
「しいて言えば、誰やろ?」
「もっくんだよ、絶対!」
なんて会話を交わしたことを思い出した。
そもそも、「和製○○」だとか、「ポスト○○」なんて事に、
意味があるとは思えないのだが、
もっくんが、日本人としては稀有な、
「美しく、色気があり、絵になる男」
だということは、確かだと思う。
そして、世界一の「美しく、色気があり、絵になる男」は、
“ジョニー・デップ”
だと、私は確信しているんである。
と、またまた話がそれてしまった。
この作品は、モントリオール映画祭でグランプリに輝き、
話題になっているからだろうか、
田舎のシネコンは、思った以上に混んでいて、
普段、映画館にはほとんど足を運ばないであろう中年夫婦や、
もっと年配の方々も結構多く、
必要以上の笑い声や、途中で鼻をかむ音など、
少々気になったりしてしまった。(苦笑)
なにはともあれ、
日本人の心のあり様、
なつかしいような風景と、心に滲みる音楽。
何もかも、自分が日本人であることを、
あらためて意識させられるような、素敵な作品だった。
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コメント
こんばんは。
私も、自分のいろいろなことを重ねて観てしまいました。
泣いたり笑ったりで大忙し。
観客の年齢層がいやに高いなーと思っていたのに
見事に溶け込んでいる私なのでした。あらあら。。
もっくん。。なんて呼んじゃいけないですね。
シブガキ隊(だったよね?)の他の二人が、どことなく生活観を漂わせて『いいお父さん』してるのに
彼だけは、どこか凛と『男』のような感じがします。
でも、きっと家ではいいお父さんなんだろうけどね。
そういうところもジョニーと似てるのかな?(笑)
年齢を重ねて美しくなる男。
スクリーンの中でしか会えないけど
そういう楽しみな男がたくさんいるのは喜ばしいことですね♪
投稿: チョコ | 2008/10/07 19:41
riさん、おはようございます。
この映画は見たいな~と思っていましたが、
あれこれ雑用でなかなか足を運べません。
最近TVでもっくんを目にして、
若いころから美しかったけど、より深みを感じさせるようになっていて驚きました。
飄々と生きてる感じが素敵ですね。
この先もずっと楽しみに出来る俳優の一人ですね。
投稿: Rei | 2008/10/08 09:50
こんにちわ。
そうそう。
和製ジョニー=本木さん。
私もそう思っています。
本木さんって、そんなに露出は多くないのに、
確実にキャリアを重ねて、確実に艶も色気も増している役者さん
ですよね。
派手ではないのに、誰もがその名を知っていて、
彼の存在感には誰もが確実に納得させられる。
芯があって、決してブレずに淡々と演じることを愛する彼は
ジョニー・デップと重なります。
ってか、
ジョニーだって、モックンのように在り続けることも出来た
はずなのに・・・なんだか今は、何かが違い始めている気が
します。そんな風に思うのはきっと私だけかもしれないけれど。
あー!!!
『おくりびと』の話、一つもしてないや~(涙)。
ごめんね、riさん。
でもこの作品、とても良かった。
理屈抜きで、泣かされてる感なしで、
あんなに映画で号泣できたのは久々だったから。
長々と失礼いたしました。
投稿: 睦月 | 2008/10/08 17:24
チョコ様
お返事遅くなってすいません。
>自分のいろいろなことを重ねて観てしまいました。
そうなんですよね。
この年齢になると、送り出した人もあり、
どうしても、そのときの事を思い出しながら見てしまいました。
もっくん、いえいえ本木さんは、
ホントに、素敵な年齢の重ね方をしてくれていると思います。
日本人じゃ、なかなか綺麗で色気のある男は少ないですもんね。
>そういう楽しみな男がたくさんいるのは喜ばしいことですね♪
そうそう、楽しみは多ければ多いほど嬉しいものです。
チョコさん。
いろんなお話したいことがあるんですが。。。
また、メールさせていただいていいですか。
投稿: ri | 2008/10/09 13:57
Rei様
この作品は、DVDでもいいから、
是非ご覧になってください。良いです、とっても良いです!
そして、本木雅弘さん、もっくんも、
良いです、綺麗です、セクシーです!
>飄々と生きてる感じが素敵ですね。
そうそう、これキーポイントですよね。
しっかり良い作品を選んで、
素敵に歳を重ねている感があります。
彼って、ジョニーと2歳しか変わらないんですね。
私、もっくんは、まだ30台かと思ってました。
ジョニーも若いと思うけど、もっくんは、もっと若いかも。。。(驚)
これからも、ず~っと見続けていきたいですね♪
投稿: ri | 2008/10/09 14:07
睦月様
睦月ちゃん。いつも、ありがとーね!
>そんな風に思うのはきっと私だけかもしれないけれど。
睦月さんだけじゃないよ。
メジャーになってからのジョニーしか知らない私でも、そう思うもの。
>派手ではないのに、誰もがその名を知っていて、
彼の存在感には誰もが確実に納得させられる。
これって、
まさにジョニー・デップのことだったはずの言葉ですよね。
>何かが違い始めている気がします。
これだけ世間の注目を浴び、世界一の人気者になってしまうと、
いくら静かに淡々と…と思っても、一挙手一投足が派手なニュースになってしまう。
ジョニーが、それを積極的に望んでいるとは思いたくないけれど、
積極的に回避している訳でもなさそう。。。だから不安になるんだよね。
でも、多分、ジョニーはこんなお祭り騒ぎがいつまでも続くことがない、
ということも、十分承知してくれていると思うのです。
でも、長いからな~。
いつになったら静かになるのか、見当も付かない事態に陥ってますものね。
私も映画と関係ないことを、長々と書いてしまいました。
あ~~、睦月ちゃんと会って、そんなこんなを語り倒したいなぁ!
投稿: ri | 2008/10/09 15:02
riさん。こんばんわ☆
わたしも10年前に父を亡くしています。
父親っ子だった私は、私を溺愛した父が
冷たくなっている姿を直視したくても
できないほど、気が狂ってしまいました。
悲しいという言葉には到底値もしないほどの
痛みにちかいほどの辛さでした。
あれから10年・・悲しさの中でも強く生きている母の
支えもあり(本当は私が支えてあげるべきなんでしょう)
なんとか、ここまで来ています。この映画を観る勇気も
正直もてないかもしれません。でも、数日前
緒方拳さんの生き様と死に様を報道で知って
「生きる」という価値と「死ぬ」という価値が
同じように美しいものだと気づきました。
もう少し大人になったら、この映画を観てみようと
思います。ジョニーデップはこの世のどんな宝石より
美しいです。無二の存在ですね^-^
投稿: NIMO | 2008/10/10 22:49
NIMO様
NIMOさんは、ブログの言葉からも伝わってきますが、
きっと、感情の豊かな方なんだろうなぁ~、と勝手に想像しています。
私はね、どっちかいうとドライというか、
よく言えば冷静、ホントは冷たい女なんだろうな~。
私も父親っこでした。
私はね、自分でも意外なほど冷静だったなぁ、と思い返しています。
ただ、父のいなくなった実家には、なんとなく行く回数が減りました。
母には申し訳ないのですが、弟家族と同居なのでまかせっきりです。
どうしても、自分の近しい人の「死」を思い出してしまうこの作品は、
NIMOさんにとっては、お辛いかもしれませんね。
ただ、湿っぽさとか暗さは、全く感じさせない作品です。
なんていうか、全てにおいて「美しい」作品です。
いつか、NIMOさんもご覧になられる日がくるといいな~と思います。
投稿: ri | 2008/10/11 02:07